中小企業の社長にとって、自社の新商品や新サービス、事業の成果を世の中に広く知ってもらうことは、経営戦略の重要な要素です。しかし、「どうやってメディアに情報を届ければいいのかわからない」「広告費は限られているが、効果的な宣伝をしたい」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
そんな中小企業の強い味方となるのが、プレスリリース配信サービスです。このサービスを利用すれば、一度の配信で数千のメディアに情報を届けることができ、メディアに取り上げられれば無料で大きな宣伝効果を得ることができます。プレスリリース配信サービスとは、企業や個人のプレスリリース配信をサポートしてくれるWebサービスで、広報活動をサポートしてくれるサービスです。
本記事では、中小企業の社長が知っておくべきプレスリリース配信サービス7選を、料金や特徴、メリット・デメリットを含めて徹底比較します。どのサービスを選べば良いか迷っている方の参考になれば幸いです。
プレスリリース配信サービスとは
プレスリリース配信サービスは、より確実に多くのメディアへプレスリリースを発信するためのサポートサービスです。従来は企業が個別にメディアへ電子メールやFAX、郵送などで配信を行っていたため時間と手間がかかっていましたが、このサービスを活用することで発信業務の効率化と広く拡散される効果が期待できます。
具体的には、配信サービスサイト上への掲載、メディアへのプレスリリース配信代行、提携しているメディアにプレスリリースを転載といったサポートを行います。サービス自体に各メディアや関係企業といったユーザーが活用するプラットフォームとして構築されており、サービス上にプレスリリースを公開することで、関係各所に一斉に配信することができる機能を持ちます。
中小企業にとって特に重要なのは、自社にメディアリストがない場合でも複数のメディアにプレスリリースを届けられる点です。また、WEB上に情報を置いておくことで「検索」に引っかかる可能性があるため、記者が企画を考えている中で必要な情報を探している際に、過去に配信したプレスリリースが検索に引っ掛かり、取材につながるケースもあります。
プレスリリース配信サービス選びで失敗しないための比較ポイント
プレスリリース配信サービスを選ぶ際は、以下の3つのポイントを重視して比較することが重要です。
料金体系
プレスリリース配信サービスの料金は大きく分けて従量課金制と定額制があります。プレスリリース配信サービスの平均的な費用は、1本あたり2万円~3万円です。その他に月額や年額で利用できる配信無制限定額プランなども設けられていることが多く、用途に応じて選択ができます。
月に2~3回以上のプレスリリース配信を予定している場合は、定額制プランの方がコストパフォーマンスが良くなる傾向があります。一方で、年に数回程度の配信であれば従量課金制の方が経済的です。
提携メディアの質と数
提携メディア数が多い方が担当者の目に止まる確率が高まることから、サービス選定を行う際には考慮したい項目の1つです。しかし、単純に多い方が良いとは限りません。配信サイト毎に得意としている領域が異なりますので、自社の事業内容や業界と親和性の高いメディアと多く提携しているサービスを選ぶのが一番効果的だと言えます。
自社のプレス内容とマッチするかどうか、サービスや提携先の強みを事前に調べておくことが大切です。大手メディアとの提携状況、業界特化メディアの充実度、地域メディアのカバー範囲などを総合的に判断しましょう。
サポート体制
特に広報初心者の中小企業にとって、サポート体制の充実度は重要な判断材料です。配信する企業をサポートするために様々なオプションが用意されているので、利用前にチェックしておくと良いでしょう。
プレスリリースの添削を行うサービスや代行作成をするサービス、メディアへ記事掲載するよう個別に働きかける支援などもあります。経験の浅い担当者でも効果的なプレスリリース配信が行えるようなサービスが豊富に用意されているため、自社の業務実態に合わせて有効活用することが大切です。
おすすめプレスリリース配信サービス7選
PR TIMES(ピーアールタイムズ)
おすすめ度: ★★★★★
料金: 従量課金プラン:1配信3万円(税別)、月間契約プラン:月30件まで8万円/月(税別)、半年間契約プラン:月30件まで7.5万円/月(税別)、年間契約プラン:月30件まで7万円/月(税別)
特徴: 提供開始12年で累計40,000社以上、上場企業の40,67%が利用する国内シェアNo1の実績があります。利用企業者数(累計10万社超、上場企業利用率58%超)、サイト閲覧数(月間8,900万PV超)、提携メディア数(250媒体超)を誇り、いずれも国内No.1となっています。
メリット: 圧倒的な認知度とブランド力を持つため、「PR TIMESから配信されている」という信頼性が得やすく、メディア掲載率が高い傾向があります。プレスリリースを10,000以上のメディアと、27,000名超の記者・編集者へ配信することができます。また、効果測定機能も充実しており、配信後の効果を詳細に分析できます。
デメリット: 業界最大手であるため料金設定がやや高めで、中小企業にとっては負担が大きい場合があります。競合他社も多く利用しているため、埋もれてしまうリスクもあります。
こんな企業におすすめ: ブランド力を重視し、確実にメディアに取り上げられたい企業。予算に余裕があり、継続的にプレスリリースを配信したい企業。
ValuePress!(バリュープレス)
おすすめ度: ★★★★☆
料金: 1回3万円~(従量課金制)
特徴: 国内で最も利用者数が多いサービスです。大手企業はもちろん、特に中小企業の利用が多くサービスに比べて利用料金が安価な点も評価されています。全国紙からニッチなメディアまで幅広いジャンルを提携先に持っており、11,000件以上のメディアリストから最大1,000名の記者へプレスリリースを配信してくれます。
メリット: コストパフォーマンスが良好で、中小企業でも利用しやすい料金設定になっています。専属プロによる代行作成や添削サービスがあり、初心者でも安心して利用できます。記者へ記事掲載のコンタクトを行うサービスも提供しています。
デメリット: 大手メディアへの掲載は競争率が高く、必ずしも取り上げられるとは限りません。PR TIMESと比較すると知名度がやや劣る面があります。
こんな企業におすすめ: 初めてプレスリリースを出す企業。コストを抑えつつ、しっかりとしたサポートを受けたい中小企業。
共同通信PRワイヤー
おすすめ度: ★★★★☆
料金: 1回4万円~
特徴: 共同通信のグループ会社が運営しているプレスリリース配信サービスです。自社の強みを生かした配信が特徴で、運営元が報道機関であるため、中立性と信頼性を守りながらメディア視点の配信を行っています。
メリット: 77%のプレスリリースが記事化される高掲載率で多くの利用者に支持されています。共同通信グループの信頼性とネットワークを活用できるため、大手メディアでの掲載可能性が高くなります。海外配信サービスも充実しており、グローバル展開を考えている企業にも対応しています。
デメリット: 料金設定が他サービスと比べて高めです。共同通信の色が強いため、一部のメディアでは他の配信サービスの方が有利な場合もあります。
こんな企業におすすめ: 全国展開を目指す企業。大手メディアでの掲載を重視し、信頼性を最優先にしたい企業。海外展開を視野に入れている企業。
@Press(アットプレス)
おすすめ度: ★★★★☆
料金: 1回3.5万円~
特徴: 記事や取材への繋がりやすさに定評があり、1回の配信で200記事を獲得するプレスリリースが毎月出ている、という驚異的な実績があります。日本で一番記事・取材につながると謳っているサービスです。
メリット: プレスリリースの内容に応じて配信先メディアリストを作成してくれるため、企業とメディアのミスマッチが起こりにくい仕組みになっているのも人気の理由です。記者目線の校正サービスも行っており、効果の高い配信を実現しています。業界では唯一FAX配信も実施しているため、従来型の方式を採用しているメディアにもしっかり届きます。
デメリット: 配信数はやや少なめで、幅広いメディアへの一斉配信という点では他サービスに劣る場合があります。
こんな企業におすすめ: 確実にメディア掲載を狙いたい企業。記事化率を重視し、質の高い配信を求める企業。
DreamNews(ドリームニュース)
おすすめ度: ★★★☆☆
料金: 月額1万円~(配信無制限の定額制)
特徴: リーズナブルな料金でサービス利用できるサービスです。1件単位の料金設定ではなく、初期費用や年会費なく配信無制限の定額プランで利用することができます。
メリット: 業界最安値レベルの定額制で、頻繁に情報発信したい企業には非常にコストパフォーマンスが良いサービスです。大手メディアからフリーペーパーまで全国7,000以上の提携先へ内容に合わせた配信を行える上に効果測定も可能です。申請から配信まで最短で30分の対応も行っており、スピード感ある対応も魅力の一つです。
デメリット: 大手メディアでの掲載は限定的で、PR TIMESなどと比較すると露出力に劣ります。定額制のため、配信頻度が少ない企業には不向きです。
こんな企業におすすめ: 頻繁に情報発信したい企業。コストを最優先にしたい企業。スピード重視で配信したい企業。
News2u.net(ニューストゥーユー)
おすすめ度: ★★★☆☆
料金: 1回2万円~
特徴: ソーシャルメディア連携に強みを持つプレスリリース配信サービスです。特にSNSでの拡散力に定評があります。
メリット: SNS拡散力が高く、特に若年層へのリーチに優れています。ソーシャルメディアを重視したマーケティング戦略を取る企業には効果的です。料金も比較的リーズナブルで利用しやすい設定となっています。
デメリット: 伝統的なメディア(新聞、テレビ、雑誌など)との関係は限定的で、大手メディアでの掲載を重視する企業には向かない場合があります。
こんな企業におすすめ: B2C商品・サービスを展開する企業。SNSでの拡散を重視する企業。若年層をターゲットにした事業を行う企業。
PRTIMES STORY(無料プラン)
おすすめ度: ★★☆☆☆
料金: 完全無料
特徴: PR TIMESが提供する無料のプレスリリース配信サービスです。お試し利用に最適で、リスクゼロで始めることができます。
メリット: 完全無料で利用でき、初めてプレスリリース配信を体験したい企業には最適です。PR TIMESの一部機能を無料で試すことができるため、将来的な有料プラン利用の判断材料にもなります。
デメリット: 配信先やメディア数、機能に大幅な制限があります。本格的な広報活動には不向きで、あくまでお試し用途での利用に留まります。
こんな企業におすすめ: まずはプレスリリース配信を試してみたい企業。予算が非常に限られている小規模企業。
プレスリリース配信サービス料金・機能比較表
サービス名従量課金定額制提携メディア数主な特徴PR TIMES3万円7-8万円/月250媒体超国内シェアNo.1、高い信頼性ValuePress!3万円-11,000件超中小企業利用者数No.1、サポート充実共同通信PRワイヤー4万円-1,000件超記事化率77%、海外配信対応@Press3.5万円-8,500件記事化率重視、FAX配信対応DreamNews-1万円/月7,000件超業界最安値、配信無制限News2u.net2万円--SNS拡散に強みPRTIMES STORY無料-制限あり完全無料、お試し用途
年間利用コストで比較すると、月1回程度の配信であれば従量課金制が有利ですが、月3回以上の配信を予定している場合は定額制プランがお得になります。特にDreamNewsは頻繁に配信する企業にとって圧倒的にコストパフォーマンスが良い選択肢となります。
目的別プレスリリース配信サービスおすすめ
予算重視の企業におすすめ
1位:DreamNews – 月額1万円で配信無制限は他社では真似できない圧倒的なコストパフォーマンスです。頻繁に情報発信する企業には最適な選択肢となります。
2位:News2u.net – 1回2万円という業界最安値レベルの従量課金制で、年に数回程度の配信であれば最もお得です。
3位:PRTIMES STORY – 完全無料でリスクゼロ。まずは試してみたいという企業には最適です。
大手メディア掲載を狙いたい企業におすすめ
1位:PR TIMES – 国内シェアNo.1の実績と信頼性で、大手メディアでの掲載可能性が最も高いサービスです。
2位:共同通信PRワイヤー – 共同通信グループの信頼性とネットワークを活用でき、記事化率77%という高い実績があります。
3位:@Press – 記事化率を重視したサービス設計で、1回の配信で200記事獲得の実績もあります。
初心者におすすめ
1位:ValuePress! – 中小企業利用者数No.1の実績があり、プロによる代行作成や添削サービスが充実しています。初心者でも安心して利用できるサポート体制が整っています。
2位:PR TIMES – 管理画面が分かりやすく直感的で、初心者でも操作しやすい設計になっています。また、勉強会なども定期的に開催されています。
3位:@Press – 記者目線の校正サービスがあり、プレスリリースの質を向上させるサポートが受けられます。
頻繁に配信したい企業におすすめ
1位:DreamNews – 月額1万円で配信無制限という圧倒的なコストパフォーマンスで、頻繁に情報発信したい企業には最適です。
2位:PR TIMES(定額制) – 月30件まで定額で利用でき、月3回以上配信する企業にはお得になります。効果測定機能も充実しています。
3位:ValuePress! – 1回3万円という手頃な料金で、継続的な利用にも適しています。
プレスリリース配信サービス選びのまとめ
プレスリリース配信サービスの選択は、自社の予算、配信頻度、目標とする効果によって決まります。
予算を最優先にする場合は、配信頻度に応じてDreamNews(頻繁な配信)かNews2u.net(occasional配信)を選択するのが賢明です。大手メディア掲載を重視する場合は、多少コストがかかってもPR TIMESか共同通信PRワイヤーを選ぶべきでしょう。初心者で不安がある場合は、サポート体制が充実したValuePress!から始めるのがおすすめです。
迷った時の判断基準として、まずは自社の月間配信予定数を明確にしましょう。月3回以上であれば定額制プランを検討し、それ以下であれば従量課金制を選択するのが基本です。また、どのような業界のメディアに取り上げられたいかを明確にし、それに強いサービスを選ぶことも重要です。
最終的には、自社の事業内容、予算、広報戦略に最も適したサービスを選択することが成功への近道となります。多くのサービスで無料相談や資料請求が可能ですので、まずは気になるサービスに問い合わせをして、具体的な提案を受けてから判断することをおすすめします。